2016年2月6日

第440巻 「珍本古書」

第440巻 「珍本古書」
高橋啓介著 1978年刊行

書物を美術工芸品として鑑賞するという視点に立つ著者が鑑賞の心得と、美しい装丁や珍しい装丁の古今の書籍を紹介する、ジャンルとしても希少なタイトルです。
一服の茶を喫するがために、亭主の美意識を最大限に発揮し、美しい道具や室礼に心を尽くす茶の発想と同じ日本の美意識でしょうか。



昭和10年代、柳宗悦の民芸運動の影響でしょうか、染色工芸家芹沢銈介の型染を用いた装丁は沖縄の紅型の技法を用いて、南欧文学の「どんきほおて」や旅の紀行文など、内容も一様ではなく、おしゃれで、モダンでもあり、美しい本の世界を構築しています。



「アルプ」を中心とする山の文学の世界は、その主要な著者である尾崎喜八、串田孫一、三宅修3氏の著作など、シンプルで上品、格調高いハイセンスな装丁で、高山の澄み切った空気とエーデルワイスの花のような独自の崇高な文化を築き上げたと言っても過言ではありません。



川端康成と三島由紀夫は師弟関係にありましたが、その生き方や作風は全く異なるものでした。作品の装丁も、川端康成の純日本的で情緒的であるのに対して、三島由紀夫の作品の場合はそのライフスタイルを表すようなエキセントリックなデザインと趣向です。



活字のない時代は、書籍というものは全て写本でした。長い時代にわたって書写が繰り返されて行くうちに、内容が変わってしまうこともあり、現在でもまた伝来が不明となっている古典籍が多くあるということです。






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